頭痛、右耳鳴、腰痛

第4章 症例
4-3.動作制限が上下肢におよぶ場合
4-3-1.頭痛、右耳鳴、腰痛

(a) 60才の僧侶。主訴は頭痛、右耳鳴、腰痛。頚部および腰部の左側屈制限があり、パトリックテスト陽性であった(図4-17)。座禅が日課であり、これが異常を引き起こした主たる要因と考えられた。 胆経・三焦経への治療で、直ちに腰痛の改善、頭痛・耳鳴も消失した。

図4-17 4-3-1-(a)の制限動作
図4-17 4-3-1-(a)の制限動作
使用経絡経穴
右胆経懸鍾、陽陵泉、風市、帯脈
右三焦経外関、肩井、翳風

頚の側屈制限があるような場合は、頚部以外の三焦経や胆経の領域に動きの制限がある場合が多い。側頚部には三焦経に加えて胆経が分布していることと関連が深い。下肢まで及ぶ胆経の伸展障害には、顎関節の動きの制限が関わる例がある。症状は同側に出現する。三焦経の顎周囲の部分への刺激で下肢胆経の伸展障害が改善することが多い。