第4章 症例
4-2.2つ以上の動作制限がある症例
4-2-2.肩
(a) 52才女性の五十肩の症例。図4-12に示した様に肩を伸展する動きや肘を屈曲して肩を内旋する動きの制限が合併していた。帯を結んだり、後ろのポケットに手を入れる動作に制限やその動作で痛みの増悪があり、肺経および大腸経に対する治療で痛みは軽減した。症例によっては、肩を屈曲する動きの制限もしばしば見られるので、小腸経や心経に対する刺激も必要となる。

使用経絡 | 経穴 |
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肺経 | 列缺、孔最、尺沢 |
大腸経 | 手三里、曲池 |
(b) ピンポン玉を打った時にのみ肩痛が出現する21才男性の卓球選手。肩の動きの制限は全く見いだせなかったが、頚の動きは制限を受けていた(図 4-13)。M-Test(経絡テスト)の結果に基づいて、小腸経・三焦経の治療をしたところ、打つときに誘発される肩痛は消失した。彼は頚を左に倒しながら玉を打ち返す特徴があり、試合前の練習での頚部の疲労が肩の痛みを誘発したと考えられた。この様に原因を他の部位に求めるべき場合がある。

使用経絡 | 経穴 |
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右小腸経 | 後谿、腕骨、養老、肩貞 |
右三焦経 | 外関、肩井 |