第4章 症例
4-1.単一動作のみが制限される症例
4-1-3.腰

(a) 19才の大学野球部の投手で腰痛の症例。胃経の伸展動作である腹臥位での右下肢の挙上(図4-5)でのみ腰痛の増悪を認めた。アンダースローで投げると聞いて合点がいった。投球時に右大腿部に負荷がかかり、練習での疲労が重なって、この部位の伸展異常が出現したと考えられたからである。胃経大腿部刺激で腰痛は改善した。

図4-5 4-1-3-(a)の制限動作
図4-5 4-1-3-(a)の制限動作
使用経絡経穴
右胃経髀関、伏兎
脾経血海

(b) 20才のラクビー選手の慢性腰痛では、腰の回旋動作負荷時(図4-6)にのみ腰痛の増悪がみられた。ボールパスの練習として最も頻繁に行っていた動作であり、腰部の筋疲労が動きを制限してしていた例で、胆経への治療で改善した。

図4-6 4-1-3-(b)の制限動作
図4-6 4-1-3-(b)の制限動作
使用経絡経穴
胆経帯脈、五枢

(c) スキー実習中に腰痛を発症し、前屈が出来なくなった21才男。スキー2級の腕前で、転倒などによるものでなく、たくさん滑った事によるものと考えられた。M-Test(経絡テスト)(図4-7)では臥位での右膝伸展時に腰痛が誘発され、膝を屈曲して股関節を屈曲した場合の腰痛の誘発はなかった。しかも、仙腸関節部にも圧痛などはなかった。膝窩周辺の圧痛点を探して、鍼刺激を施行したところ、腰痛は消失した。

図4-7 4-1-3-(c)の制限動作
図4-7 4-1-3-(c)の制限動作
使用経絡経穴
右膀胱経委陽、委中、合陽
右腎経陰谷