第4章 症例
4-1.単一動作のみが制限される症例
4-1-2.肩

(a) 20才の野球選手。ボールを投げると右肩が痛く、肩峰下滑液包炎の診断を受け、肩への局注をうけた。少し改善したが、どうしても挙上の際の引っかかる感じと痛みがとれない。図4-3に示した肩の屈曲制限から小腸経と心経の異常と判断された。小腸経、心経の圧痛の強い部位への鍼刺激で改善した。1週後受診したときには、痛みはほぼ軽快して、ボールを投げても痛みがほとんどなかった。

図4-3 4-1-2-(a)の制限動作
図4-3 4-1-2-(a)の制限動作
使用経絡経穴
右小腸経肩貞、天宗
右心経青霊

(b) 投球時肩痛などでは肘を屈曲して肩を外旋する負荷(図4-4)で、痛みの誘発ないし増悪を認めることが多い。インピンジメント症候群などの診断を受けていることが多いが、肘から肩にかけての小腸経・心経の経穴に刺激すると効果的である。

図4-4 4-1-2-(b)の制限動作
図4-4 4-1-2-(b)の制限動作