股および膝の経絡に対する分析

第2章 M-Test(経絡テスト)
2-1.各関節の経絡分布に対応した分析
2-1-6.股および膝の経絡に対する分析

大腿前面には陽明胃経と太陰脾経と、大腿後面には太陽膀胱経と少陰腎経、大腿外側には少陽胆経が分布し大腿内側には厥陰肝経が分布している。この関係は膝および股において原則的に同様である。(図2-11)

図2-11 大腿部の経絡分布(膝上部)
図2-11 大腿部の経絡分布(膝上部)

図2-12に股および膝の経絡に対する分析を示した。

図2-12 股および膝の経絡に対する分析
図2-12 股および膝の経絡に対する分析

1の動作では下肢後面が伸展されるが、ここには膀胱経および腎経が分布している事からこの動作での症状の誘発や増悪があれば、これらの経絡の伸展阻害があると判断する。膀胱経および腎経のうち、膀胱経への負荷を判断するときには、この動作に少し股関節の外旋を負荷し、腎経への負荷を判断するときには股関節の内旋を負荷する。2の動作で痛みなどの誘発がなければ、股関節よりも膝窩および下腿後面に伸展のよくない部分があると判断する。3の動作で痛みの誘発や増悪がある時には、下腿前面の伸展が阻害されていると判断し、胃経・脾経の動きの制限であると考える。股関節および大腿部の胃経、脾経への負荷を判断するには4の動作を追加して行えば良い。5の様に、パトッリックテストを行った際には、下肢外側および内側に負荷がかかる。この動きで痛みなどが誘発される時には、胆経ならびに肝経の動きが制限されていると判断する。股関節単独の負荷を判断するためには、6の動作の様に股関節を内旋あるいは外旋をしてみると良い。