鍼の効果と動きの改善

第1章 経絡と動き
1-2.経絡の動きの制限と病気
1-2-4.鍼の効果と動きの改善

鍼治療には様々な方法論があって、それぞれにその有用性や優位性が主張されてきた。治療システムが異なっても、効果を経絡の動きの制限に及ぼす影響と言う面から観察すると、治療効果のある場合とない場合の解釈が簡単になると我々は考えている。例えば、循経取穴の方法を用いて痛みや不快感が存在する部位を流注する経絡を刺激しても、効果がある場合と効果が得られない場合がある。効果が発現している場合には経絡の動きの制限も改善しており、効果が出ていない場合は経絡の動きの制限は改善していない。また、痛みのある部位に直接に、あるいは硬結や筋緊張を目標に治療する場合でも、効果の出たときには、制限されていた経絡の動きが改善しており、そうでないときには動きの改善は見られない。この様に、治療システムが異なっても経絡の動きの制限に対する効果と言う共通の面からその有用性を観察できる。効果のない場合でも、我々が提唱するような動きの概念を取り入れて、その部分を含めた身体全体の一連の動きの制限から判断して再治療すると効果が得られる事から、動きから病態を把握する事で様々な方法論を共通の基準で比較が出来るようになると考えられる。

図1-15 鍼の効果と動きの改善
図1-15 鍼の効果と動きの改善