経絡異常と動きの制限

第1章 経絡と動き
1-2.経絡の動きの制限と病気
1-2-1.経絡異常と動きの制限

経絡分布の特徴を観察すると、経絡は動きと極めて関連が深いと考えられた。そこで、経絡に異常が発生するとその原因の如何に関わらず、経絡の動きが制限されるという発想で置き換えてみた(図1-11)。

図1-11 経絡の異常と病気の関連
図1-11 経絡の異常と病気の関連

身体の動きを表面から観察すると、強く伸ばされている部位があったり、逆に縮む部位もあったり、ねじれのおこる部位もある。動きに際して伸ばされるべき部分がよりスム−ズに伸展され、縮むべき部分がよりスム−ズに縮み、ねじれるべき部分がよりスムーズに捻れると人の動きが円滑になる。動きの円滑さが障害されると痛みや不快感などの愁訴が出現するが、姿勢異常も出現する。片方の肩が落ちているとか猫背になるとか膝を曲げるとかなどの姿勢の変化も気血の流れの滞った経絡を動かすことを避ける動作の結果であると考えることが出来る。我々の観察によれば、動きの円滑さが失われるという現象は運動器疾患に限られたものでなく、様々な内臓病変に際しても、同様に観察される。さらには、病気の消長がこの動きの円滑さの欠如や改善と深い関わりを持っている。この様に動きの制限は経絡異常を知る有用な一手段になると考えている。