経絡をつなぐ順序の特徴

第1章 経絡と動き
1-1.経絡分布の特徴と人の動き
1-1-6.経絡をつなぐ順序の特徴

また、経絡をつなぐ順序においても位置関係が重視され、上下肢で類似の位置関係にあるものが順次つながっている。結果として、表裏経や同名経の様に動きに際して類似の負荷のかかる経絡がセットになり、上肢から下肢、下肢から上肢へと経絡の流れがつらなる形をとっている。

太陰肺経から陽明大腸経への流れの次は手と類似の位置関係にある足の表裏経、つまり陽明胃経から太陰脾経へとつながれているとされており、同じ指趾に分布するものが連続した形をとる。この際、同じ位置関係を有する陽経の同名経は直接につながる形をとり、陰経の同名経はその周囲に配された形となる。結果的に、肺経(太陰・裏)→大腸経(陽明・表)→胃経(陽明・表)→脾経(太陰・裏)の順序となり、動きに際して互いに影響を与えあう経絡群が連なる形をとる。次に、相互の位置関係が近接した形をとる表裏経、同名経が続き、心経(少陰・裏)→小腸経(太陽・表)→膀胱経(太陽・表)→腎経(少陰・裏)の順序となる。その後に、対立の位置関係にある表裏経および同名経が続き心包経(厥陰・裏)→三焦経(少陽・表)→胆経(少陽・表)→肝経(厥陰・裏)の順序となり、いずれも動きの影響が類似する経絡群が一群となっている。また、人が上下肢を動かす際に、動きの軸となる前後の中心線はそれぞれ任脈、督脈とよばれ、任脈は陰経と連なり、督脈は陽経と連なっており、経絡を統括するものと位置づけられている。